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国外財産調書制度の留意点

2012年度(平成24年度)税制改正により、国外財産調書制度が制定されました。この制度は個人(日本居住者)が所有する国外財産が5 千万円超ある場合には、その明細を税務当局へ毎年提出するもので、2013 年12 月31 日時点で保有する国外財産から適用が開始されます。

~留意点~
1. 国外財産調書の提出義務者
国外財産調書の提出が必要となるのは、日本の居住者(非永住者を除く)であり、かつ12 月31 日時点において国外財産を時価ベースで合計5 千万円超保有している個人です。
国外財産調書の提出は、所得税確定申告書の提出の有無とは関係なく義務付けられます。たとえば、申告所得のない未成年者であっても、贈与や相続等により多額の国外財産を有する場合には国外財産調書を提出しなければいけません。

2. 対象となる財産
対象となる財産は「国外にある財産」のすべてであり、財産に債務は含まれません。たとえば、外国で1 億円の不動産を銀行借入により購入した場合、国外財産は正味ゼロと考えるのではなく、1億円の国外財産を保有しているということで、当該1億円の不動産を記載した国外財産調書の提出が必要になります。

3. 税収確保に関する海外諸国との政府間協力
近年、日本を含め海外諸国において、国外財産にかかる税収をいかに確保するかということが各国政府の課題となっており、適切な徴税を行うための様々な施策が検討されています。日本における国外財産調書制度もその例の一つです。
各国の税務当局が適正に税徴収を行うための諸国間の情報交換、徴税支援等を目的として創設された多国間税務執行共助条約には、50を超える国が署名しています。日本も2011年11月に当該条約に署名し、当該条約は2013年6月に発効しました。
日本国内では、2013年6月に国税徴収法基本通達が改定され、国外財産を有する納税滞納者について、日本政府が外国政府に滞納税額の徴収につき協力を要請できることとなりました。